ここでは新阪堺電車の監督(者)の採用試験に関する規則について掲載します。


監督採用試験規則1

制定日・改定日不明

第一條 監督採用試驗ハ必要ノ都度之ヲ行フ
試驗ニ合格シタル者ニアラサレハ監督ニ採用セラル丶コトナシ

第1条(監督の採用試験) 監督の採用にあたっては、必要に応じて試験を実施するものとする。
試験に合格した者でなければ、監督として採用してはならない。

第二條 試驗ヲ受ケントスル者ハ左記各號ニ該當スル者タルコトヲ要ス
一、車掌、運轉手及ビ運輸係ニシテ二ヶ年以上勤續シタル者但シ試驗施行ノ前日ヨリ二ヶ年間ニ缺勤、早退、遲刻各二十囘ヲ超ユルモノハ之ヲ除ク
二、品行方正ニシテ其ノ職務ニ忠實ナル者

第2条(受験資格)試験を受けようとする者は、次の各号のいずれにも該当していなければならない。
1. 車掌、運転手または運輸係として継続して2年以上勤務している者。ただし、試験実施日前の2年間において、欠勤・早退・遅刻のいずれかがそれぞれ20回を超える者は除く。
2. 品行方正であり、かつ、その職務に忠実である者。

第三條 試驗ハ筆記及口述トス

第3条(試験の方法)試験は、筆記試験および口述試験によって行うものとする。

第四條 筆記試驗ハ左ノ科目ニ就キ之ヲ行フ
一、數學、國語、作文
二、電氣學ノ大意
三、操車方法
四、社則
五、交通關係法規

第4条(筆記試験の科目)筆記試験は、次に掲げる科目について行うものとする。
1. 数学、国語および作文
2. 電気学の概要
3. 操車方法
4. 社則
5. 交通関係法規

第五條 口述試驗ハ監督者タル常識及人格ヲ具備スルヤ否ヤヲ考試スルヲ以テ目的トス

第5条(口述試験の目的)口述試験は、監督者としての常識および人格を備えているかどうかを審査することを目的とする。

第六條 試驗合格者ハ試驗施行後二週閒內ニ之ヲ發表ス

第6条(合格者の発表)試験の合格者は、試験実施後2週間以内に発表するものとする。

第七條 試驗ニ關シ不正行爲アリタル者ニ對シテハ其ノ試驗ヲ停止シ尙期閒ヲ定メテ試驗ヲ受ケシメサルコトアルヘシ試驗合格決定後發覺シタルトキハ其ノ合格ヲ無效トス

第7条(不正行為に対する措置)試験に関して不正行為があった者については、その試験を停止し、一定の期間、試験を受けさせないことができる。
試験の合格決定後に不正行為が発覚した場合は、その合格を無効とする。

以上

参考文献

  1. 大阪市公文書館所蔵,『阪堺電車株式会社報告・届書類綴』昭和14年~昭和15年,配架番号12041を転載した。 ↩︎

この監督採用試験規則は1940年(昭和15年)9月25日付、発第223号、新阪堺電車社長発、大阪鉄道局監督部長宛、『地方鐵道軌道及專用鐵道乗務員採用内規提出方ノ報告』に添付されていたものです。